『噛みあわない会話と、ある過去について』

辻村深月さんの作品。以下の作品が収録されている。

ナベちゃんのヨメ、パッとしない子、ママ・はは、早穂とゆかり


どの話も読み終わってから、嫌な気分になった。

一番「ナベちゃんのヨメ」が印象に残っている。「周りの人のことをもう少し考えてあげられないのか」、「夫の友人に軽い感じで頼み事がよくできるな」と感じた。ただ

「パッとしない子」では、自分が相手に思っていることと相手が自分に思っていることがズレていたときの怖さを感じた。芸能人は過去のことをほじくり返されて、本当に大変だと思う。何気ない一言を相手はずっと気にしていてということがあるかもしれないので、言葉に気をつけようと感じた。


印象に残っている文

コーラス部の中で、誰よりも女子に信頼されて、女子に近かったけれど、それゆえに女子から、一番、男子としては遠くに思われてしまったナベちゃん。

相手に頼みごとをしてるのに、自分の知り合いにもいるって、なんのアピールなんだろう。

「よくあるんですよ。こういうこと。みんな悪気なく、こっちが傷ついたりするかもしれないなんてこと考えずに、とにかく知ってることはすべて口にしちゃうんです。相手がどう思うかじゃなくて、知ってるっていう親近感を出す方が好きなんでしょうね」

理不尽でも我儘でもない。悪意だってもちろんない。ただ少し、ずれているだけなのだ。

「今考えると、お母さんって、その家のルールそのものなんだよね」

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