『絶対解答不可能な理不尽すぎる謎』

未須本有生さんの作品。

未須本さんの作品を読むのは初めてである。


警察官僚、ミステリー作家、デザイナー、編集者、ワイン評論家、映像作家、エンジニアの7人が事件に絡んでくる。

人が死なないので、安心して読むことができた。

このような日常の謎を解決する話は好きだ。

友人の作成した暗号を解けばワインが飲める話と、編集者が作家を怒らせた原因を探る話がとても面白かった。

紙飛行機の原理とバラの品種について知らないことが多かったので、学ぶことができてよかった。


印象に残っている文

入庁して数年は他の者と同様、上昇志向もあり、庁内の勢力図や派閥を意識しながら行動していたが、最近はその手の出世競争にはあまり関心がない。むしろ自分とは異なる思考や知識を持つ者たちと、いかに連携するかの方に興味がある。


「なるほど、笹乃葉さんにとって着物はいわば戦闘時のパワードスーツ、あるいは日常という殻を破るコスプレみたいなもんだな」

日照時間や気温、降雨量などの自然環境によって、ブドウの収穫量や味は大きく影響を受ける。よいブドウが沢山とれた年は「当たり年」と呼ばれ、天候不順で少なかった場合は「外れ年」となる。

青いバラは専門家にとって究極の目標の一つであり、より青く見えるバラの作出にしのぎを削っているという。

「そうなんだ。紙飛行機は動力がないから、人が乗るグライダーと似てると思いがちだけど、違うんだよ。グライダーの尾翼は飛行を安定させるためだけのもので、最低限の大きさしかないんだけど、紙飛行機の水平尾翼は、積極的に空中に浮く力つまり揚力を得るためのものなんだ。翼の大きさの比率は、むしろ最近の戦闘機に近いんじゃないかな」


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