『ミステリーアリーナ』


深水黎一郎さんの作品。
多重解決ものである。
ここまで緻密な作品を作れるのは深水さんしかいないと思った。
14人の回答者の意見はすべて納得がいくものであった。しかし、次の章でそれが否定され、真実が一体何かわからなくなる。
ラストは予想がつかなかった。

印象に残っている文

俺はこの〈車に乗っていてもうちょっとで死ぬところだった自慢〉を、〈学生のテスト前の勉強してない自慢〉や〈サラリーマンの寝てない自慢〉、それに〈いい年した大人の若い頃はワルだった自慢〉などと並ぶ、世界の四大どうでもいい自慢とひそかに名付けている。

「数で勝負みたいな音痴のアイドルグループや、声もロクに出ないおじさんおばさん歌手たちが歌うのを聞いて、一体何が楽しかったんでしょうね!」

「本姓は天皇から賜ったもので、一族の名前だよ。だが子孫が枝分かれしてどんどん増えて来ると、互いに区別する必要が生じて、住んでいる土地の名前や官職名に因んで名字がつけられた。」


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