『殺し屋、やってます』

石持浅海さんの作品。

副業で殺し屋をやっている富澤は、連絡係の塚原から依頼を受けたら標的を暗殺し、報酬をもらっている。


富澤を殺害してほしいという依頼が来たのが、とても驚いた。犯人が分かってなるほどと思った。

ミスなくきっちり仕事をする富澤がすごいと思った。

標的の謎の行動の理由が明らかになって、どれも納得がいった。


印象に残っている文

間に一人ではなく二人置くことによって、依頼人と殺し屋は、お互いの情報を知り得ないようになっている。

「殺し屋は、想像しちゃいけないんだよ。標的にも好きな相手がいるんだろうなとか、この相手が死んでも困る奴もいるんだろうなとか、想像してはならないんだ。逆に、標的がどんなひどい奴でも、こんな奴は殺されて当然だと考えてもいけない。想像は、感情移入につながる。人間は、感情移入した相手には、冷静に立ち向かえない。つまり、殺せないってことだ」

肝臓は、血管の塊だ。そこを刺されてこじられたら、大出血が起こる。

僕は煙草が好きではないけれど、一応は吸える。これはけっこう重宝する技能だ。路上でただ突っ立っていたら、怪しまれる。怪しまれないまでも、印象に残ってしまう。しかしそこに灰皿があって煙草を吸っていたら「ああ、喫煙スペースで煙草を吸っているんだな」と納得して、記憶から簡単に消えてしまうのだ。

「塚原。今の日本で、殺し屋に、なぜ存在意義があると思う?」「存在意義?」「人の命が、大切だからだよ」

返事ができない。脳は最初の驚愕から一ミリメートルも前に進んでいない。

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