『レンタルフレンド』

青木祐子さんの作品。青木さんの作品を読むのは初めてである。

『クッキー&クリーム』に所属しているフリーランスの七実は、レンタルフレンドとしてさまざまな事情を抱えた依頼人から依頼を受ける。


友達としてとレンタルフレンドとしての振る舞いが異なるため、頭が良くて臨機応変に対応する力がないと難しそうだと感じた。

依頼人の野枝の話が一番印象に残っている。レンタルフレンドを使わなくても良くなるといいなと感じた。

塔子と綾音の2人は可哀想だと感じた。

印象に残っている文

いちばん好きなのはシンプルなクッキーでも、いろんな種類があると楽しいでしょう。なくてもいいけどあったら楽しい。それって女の子のお友達と同じよ。甘くて苦くて楽しくて、無駄だけど大事なおしゃべり。どうしても必要ではないけれど、あると心が豊かになる。わたしは素敵な女性に、そういうものを与えてあげたいの。

世の中にはどういうわけか、恋人に同性の友達がいるかどうかを気にする男がいるのだ。いたっていなくたって自分には関係ないだろうに。

レンタルフレンドをしていて怖いのは、犯罪に巻き込まれること、詐欺の片棒を担がされることである。身分証明書を確認したり、他人のいないところにはいかなかったりとある程度は警戒しているが、最終的には依頼者の人間性を見抜く目にかかっている。

「そういうときのためにレンタルのお友だちがいるのよ。美味しくて楽しいところは本当のお友だちがとればいい。面倒なことはみんな、わたしたちがやってあげる」

千紗の目が光っている。深い水をたたえた湖のようだと思った。お金で友情を買うレンタルフレンドなどにはけして手に入らない、無限に湧き出す美しい水である。


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