『夫の墓には入りません』

垣谷美雨さんの作品。

夫が急死してしまい、家とともに残されてしまった妻の夏葉子。

姑や舅との問題を抱えると同時に、謎の女サオリが現れ夏葉子の心を乱してくる。

夏葉子の夫はサオリと不倫をしていたのだと決めつけていたが、そうではなくて本当に良かった。夏葉子の父親はとても頼りがいのある人だった。結婚相手の家族と良い関係を築いていくのはとても難しいことだと感じた。お互いに言いたいことがたくさんあると思うけれど、それをどのように伝えるかが重要だと感じた。「婚姻関係終了届」という制度が存在することを知らなかったので、勉強になった。

印象に残っている文

人の死というものは、過去のあれこれを帳消しにしてしまうほどの、圧倒的な不幸だと思っていたけれど、そうでもないらしい。

ーーお線香を上げさせてください。その優しそうな一言が、まるで他人の家に自由に出入りできるチケットであるかのようだった。

ハトシとは、食パンに海老などのすり身を挟んで油で揚げた料理だ。

「しっかりしている上に性格も悪くないとなったら、人は遠慮なくモノを頼むようになる。」

「要はさ、相手を非難することを言っちゃいけないんだよ。ただ単に、自分の苦しい気持ちを吐き出すんだ。簡単だろ?」

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