『此の世の果ての殺人』

荒木あかねさんの作品。荒木さんの作品は初めて読む。

熊本県に隕石が落ちてくるため、自殺する者や海外に逃亡する者が出た日本。福岡県に住んでいる小春とイサガワ先生は、殺されたと思われる遺体を発見し、犯人を探す。


もし日本がこの物語のような状況に陥ったら、自分は一体どのような行動を取るだろうか。

暁人と光の兄弟愛がとても良いと感じた。

小春とイサガワ先生が自動車学校で出会ったというのが、あまり他の作品で見ない形だと感じた。


印象に残っている文

使い道のなくなった知識ほど記憶に定着するのはどうしてだろう。

イリジウム衛星電話とは、地上七百八十キロという低軌道を移動する、六十六機の人工衛星を経由して通話する衛星電話サービスである。イリジウム端末同士での通話は、地上の通信インフラを経由せず衛星のみを介して行われるため、災害時や現在のような非常事態にも利用できるはずだ。

先生はときどきわたしのことを「優しい」と評するけれど、そう言われるたび得体のしれない不快な気持ちに襲われる。その正体はきっと、罪悪感だ。わたしはいい人のふりをしたいだけなのに。

「人に親切にする機会に巡り合ったら、いつも『あ、いい人アピールするチャンスだ』って必死になっちゃうんです。嫌な奴ですよね」

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