『終活ファッションショー』

安田依央さんの作品。安田さんの作品を読むのは初めてだ。

司法書士の市絵が老人の相談をきっかけに、「終活ファッションショー」を企画する。ファッションデザイナーである腹違いの弟や強烈キャラのリオの力を借りて、終活に悩む人々のステージを考えていく。


幼い子供がいながら余命がわずかである女性、姑の最期に希望の死装束を着せられなかった女性のステージが特に印象に残った。

自分の人生の閉じ方をあらかじめ他の人に伝えていれば、より幸せに人生を終えることができそうだと考えた。

荒川さんの境遇を聞いて、人の死はいつ訪れるかわからないと感じた。


印象に残っている文

サスペンス劇場に出てくるような資産家とは異なり、死者の枕頭で遺言書を開封することなど現実には殆どない。

死者は棺の中にありながら無防備だ。無遠慮な視線に晒される。その時に着る服は、ある意味、武装なのかも知れない。

「さとーかたくりこ。かたくりこに砂糖入れて、お湯入れて掻き混ぜるヤツ。基大の得意料理だよ」


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