『終活中毒』

秋吉理香子さんの作品。SDGsな終活、最後の終活、小説家の終活、お笑いの死神といった話が収録されている。


「SDGsな終活」では、このような詐欺をしている人が世の中に1人くらいはいそうだと感じた。

「小説家の終活」で、訪れた日光でお互いにアイデアをパクったわけでもなく、たまたま似たような話ができあがるというのがすごいと感じた。

一番好きな話は「お笑いの死神」である。死神の正体はずっと謎だったが、最後の六ちゃんのズボンが下がる場面だけで笑った理由を知って、納得した。


印象に残っている文

そう。余命わずかな女性を見つけて、結婚して、看取り、遺産をいただくのが僕の本業だ。

「余命というのは、本来なら神の領域ですからね。我々医師はこれまでのデータと経験から中央値を算出しているにすぎません。奥様の年齢、既往歴、進行状態などを総合しての判断です」

処分とは結局、家族の歴史を削ぎ落としていく作業だ。どんなに小さなものでも、つまらないものでも、確かに自分たちを象ってきた。それらを少しずつ捨てていくのは、やはり辛い。

はっきりいって、どんな名前でも似合いそうだ。花恋とかありさとか麗華とか、いっそのこと「美人」って名前でもええんちゃうかと真剣に思うくらいだった。

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