『時限病棟』


知念実希人さんの作品。

田所病院に閉じ込められてしまった男女5人。6時間以内に脱出しなければ病院は爆発してしまう。一見関係のないように思えた5人にはある共通点があった。

田所病院では、かつて映画監督が不審な死を遂げた。遺体の第一発見者である芝本は殺人容疑をかけられ、自殺してしまう。

爆発の時間制限があったため、ハラハラしながら読んでいた。ページをめくる手が止まらず、あっという間に読んでしまった。登場人物がみんな怪しく見えて、「この人が犯人ぽいな」と何回も思っていたが予想が外れた。極限の状態になったときに自分はどのような振る舞いをするのか考えながら読んでいた。脱出ゲームをしたことがないので今度やってみたいと思った。

印象に残っている文

筋弛緩剤とは、その名の通り全身の筋肉を強制的に弛緩させる薬だ。その効果は絶大で、呼吸のための筋肉さえ完全に麻痺させる。全身麻酔中は、それを投与することで自発呼吸を止め、人工呼吸管理をスムーズにしたり、腹筋の緊張を解いて開腹を容易にしたりする。しかし、覚醒している患者に筋弛緩剤を投与すれば、意識はあるにもかかわらず呼吸ができないという、恐ろしい状態に陥ってしまう。

「自分のガキっていうのはな、どんなにでかくなろうが、どんなに離れていようが、ずっとガキなんだよ。自分の命より大事な存在なんだ。それが死んで、平気でいられるような奴はいねえよ」

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