『竜巻ガール』

垣谷美雨さんの作品。

「竜巻ガール」「旋風マザー」「渦潮ウーマン」「霧中ワイフ」の4つの話が収録されている。


もし作者がわからない状態で「竜巻ガール」だけを読んだら、垣谷さんの作品とはわからなかったと思う。

「渦潮ウーマン」の話が一番印象に残っている。垣谷さんは女性の心理を表現する技術がすごいと思う。読んでいるこちら側も疑いの目を持ってしまった。


印象に残っている文

気負いも照れもなくすらすらと言えた。嘘というものは、抵抗なく口から出るものだ。嘘だからこそ照れがないのだ。

「性格の不一致や」「性格が一致する夫婦なんて、この世の中におるんか」

美しい女の隣には決して座ってはならない。そんなのは女にとって常識だ。並んで座ったならば、向かい側の男たちは、無意識のうちにふたりの女を見比べるものなのだ。

ウエイトレスを見上げて「本日のお勧め」を注文する一瞬の隙にも、横顔に綾香の鋭い視線を感じた。久しぶりに会った女同士にはよくあることだ。どちらがまだ若さを保っているかを観察しあう。

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