『あの日のオルガン』


五十嵐佳子さんの作品。

集団疎開については聞いたことがあったが、疎開保育園というのは初めて聞いた。自分たちが生きていくだけで精一杯にも関わらず、子どもたちのために全力を尽くす保母さんの姿に感動した。疎開を受け入れてくれた地域の方々の人間性も素晴らしいと思う。効率を重視せず、子どもたち一人ひとりの母親役となったところが素晴らしいと思った。

戦争は「はい、この日に戦争が終わるのでそれまでの期間がんばってください」

というようなものではなく、いつまでも終わりが見えないのが辛いことだと思う。


印象に残っている文

「国民学校の小学生は集団疎開。でも幼い子どもを親と離すのは危険だから幼稚園は閉鎖。親はお国の戦力増強、首都防衛でかり出される。じゃあ、一体子どもたちはどこへ行けばいいんですか!」

戦争というのは、あらゆるものを莫大に消費する。

赤紙は召集令状だ。赤紙が来たら、親が死んでも出征しなければならない。絶対そむくことができない。

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