『空をつかむまで』

関口尚さんの作品。

元サッカー部の優太と水泳部の「姫」とモー次郎はひょんなことからトライアスロンの大会に出場することになった。

今回は3人のリレー形式で行われていたが、これを1人で行うのはかなり大変だと思った。特に乳酸がかなり溜まった状態でランニングをするのがきつそうだと感じた。

物語はいい形で終わるのかと思ったら、モー次郎の身に悲しい出来事が。ただ、卒業式の場面は感動的だった。

もう二度と訪れることのない青春という感じがした。

3人とも個人で抱える問題があるなかで、トライアスロンという一つの目標に向かって努力する姿がとても良いと感じた。


印象に残っている文

「実はおれ、海王のスイミングクラブもやめたんだ。でもさ、泳ぐことが嫌いになったわけじゃないぜ。たださ、泳いでるときだけ人に認めてもらう感じがもういやなんだよ。泳いでないと価値がない人間なのかなって疑問に思っちまってさ」

「モー次郎って聞きまちがえがほんと多いんだよ。この前はフリスビーの話をしてるのに、投げちゃいけないなんて言い出すからなにかと思ったらクリスピーと聞きまちがえてるし、サッカーのワールドカップの勝ち負けについて話してるのに、それはどんなみそ汁なんだなんて言い出すからよく訊いてみたら、勝敗は『神のみぞ知る』と言ったのを、『神のみそ汁』とまちがったらしくて」

いつも思う。どうして女の子は黙っていると、大人びて見えるんだろう。そして、大人びて見えたときの女の子は、なぜ悲しげに見えるんだろう。

きっと誰かの思惑が絡んだやさしさは、どっかで人を傷つけるのだ。仕組まれたやさしさは、人をさびしくさせるのだ。

「トライアスロンの楽しさは、この地球を体で感じることだよ。姫くんは海の大きさを、モー次郎くんへ空の広さを、優太くんは大地の強さを感じながらがんばってみなさい。いいかい。たくさん感じるんだよ。そして、地球と遊ぶんだ」

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