『鳥たち』

よしもとばななさんの作品。

それぞれ母親を自殺で失った過去を持つまこと嵯峨。嵯峨は苗字だと思っていたら、名前だった。二人の過去は読んでいて辛かった。二人の関係に名前をつけるとしたら一体何だろうか。「幼馴染」「家族」「戦友」......。どれも違う気がする。

セドナの写真を調べてみると、「ザ・アメリカ」という感じの写真が出てきた。夕日が沈むときはさぞかし綺麗だろうと思った。

「だって、彼の見た目、とても変わっている。けっこうハンサムだけど、発散してるものが濃厚すぎる。」
嵯峨といるときに見える世界はなにもにごりがなくきれいだ。
「もっと軽く、鳥のように、風に乗せるように祈った方がいい。お前はいつも自然だよ。だからそんなことが言えるんだ。謙虚ですらない、ただ自然なんだ。」
名前というものにはなにか決定的な力があるように思う。その記号だけで彼らのエッセンスが厳粛にまた生々しくよみがえってくるのだ。
「生きるということに関して、赤ちゃんのほうが僕たちよりもずっとずっと賢いんだ。」
「いつだって人の言うことは、その人のめがねで見たものごとだから、不思議な感じがする。」
人の口から彼の名前が出ると、いつも甘く誇らしい気持ちになる。
「学校の先生というものは、ばかにできないんだよ。」末永教授は笑った。「考えてばかりいるんだから。考えるのが仕事なんだから。それを若い人に伝えていくだけが、自分の考えたことを役立てる方法なんだから。」

↑ 末永教授の言葉がとても印象に残っている。


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