『三千円の使いかた』

原田ひ香さんの作品。

祖母、母、娘の3世代にまたがる物語。

祖母は年金生活に不安を抱え、母は家族に無関心な旦那に嫌気がさして離婚を考える。娘は結婚を考えていた相手に借金があることを知る。


マネーリテラシーの教材のような本だと感じた。

お金というのは人生において切っても切れないものなので、今後も考えていきたい。

祖母と孫の両方にとっての良い落としどころが見つかって、安心した。


印象に残っている文

「俺たちはさ、皆、そういう小さい人間だってこと。だからさ、おじさんたちだって必死に悪口言ってたんでしょ。不安だから、お互い話を合わせてさ。それを認識するだけでも大切なことじゃないかな。美帆がそういう自分の弱さや小ささを直視できる人間だってことだけでも、俺はすばらしいと思うけど」

大きなため息が出た。「ああ、私、ため息をついている」と自分で認識できるようなため息だった。

自分が稼いだ給料をすべて女房に渡して、なんの不満も不安もなく生きていける。そういう人間にしか、家庭を持ったり、子供を育てたりできないのではないだろうか。これもまた特殊能力だ。

「お花は足がないのよ。つらくても苦しくても、そこにいるしかないの。植えたのは人の勝手な事情なのよ。だから、ちゃんと責任もって」

「離婚は人生の終わりじゃない、新しい人生の始まりなんですよ」

人生にはどうにもならないことがたくさんありますよね。例えば、年齢、病気、性別、時間……。ある種の借金もその一つなんじゃないかと思うのです。だったら、借金がある私たちが幸せになれないなんてことはおかしくないでしょうか? そんなふうに考えたらいけないでしょうか。お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。これはお祖母ちゃんの言葉ですが、私も今、心からそう思うのです。

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