『東京普請日和』

湊ナオさんの作品。

血のつながりはないが、英明と郁人は兄弟である。英明は陶芸家で、郁人は建設会社に勤めている。

英明のツッコミを聞いて、室生犀星のくだりがよくわからなかった。実際に、室生犀星の手紙の内容が作中に出てきたときに、納得した。

新宿のLOVEのモニュメントが出てきたときに、自分が初めて見たときに「こんなものがあるんだ」と驚いたことを思い出した。


印象に残っている文

「兄に対して、なにこのそっけなさ。おまえは転生した室生犀星かっつの」

「男女別の喫煙ルームなんて世も末だ。あれ全部あのおっさんたちの呼気だろ? そう思うと、うわ、うわ、やべ」

「郁人くんがリーマンとしての人生まっとうするなら『会社人生は長いマラソン。周り見て、空気読んで、ペース配分しなきゃ。この一瞬を全力疾走するなんてアホや』みたいなオヤジアドバイスが正解なんだと思うけど。私は、出すモノがあるなら、あるかぎりぜんぶぶちこめってほうを圧倒的に支持してるから。キツイなら、キツいのって素晴らしい、ああ、郁人くん万歳、って、思っちゃうよね」

「ーーあの前世のさあ、コンスタンティンノープルの夏のない年に生まれた東ローマ帝国の娘、っての、昔英明がよくやってたロールプレイングゲームの中の雑魚キャラじゃん?」

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