『よっつ屋根の下』

大崎梢さんの作品。

医療ミスを告発して千葉の銚子に飛ばされた父親、東京・白金の家に娘と残った母親、中学受験を諦めて父親について行った小6の僕、転校したくないという小3の妹の家族4人の物語。


銚子は過去に訪れたことがあり、海風が強かったイメージがある。

なぜ父親についていかないのか母親の気持ちが理解しにくかったが、母親の章になりそういうことかと理解した。

正しいことをした者が排除されてしまうというのが、とても悲しいと感じた。

父親と母親の出会いが素敵だと思った。


印象に残っている文

正しいことをしても、それが認められなければ「正しい」にはならない。

「でもな、自分は自分で精一杯、誠実にやっていくしかないんだ。フミもだぞ。おまえが優しさや思いやりを持っていれば、必ず気づいてくれる人がいる。応えてくれる人がいる。それは信じていいぞ。お父さんが言うんだからな、まちがいない。大丈夫だ。恐くない。恐くても、投げ出すな。お父さんも投げ出さない。おまえも投げ出すな」

二匹の犬と眺める青い海に、色とりどりの音符が弾んでいるような気がした。

「千葉にいることで、都会と地方と両方について考えられるようになった。どちらにも長所と短所がある。利点と弱点がある。それをもっと掘り下げて考えてみたいし、研究しているところがあるなら入れてほしい。できれば、これから先の町作りに関われるようになりたい。そう思って探したのが今の学部だ」

「人の心って矛盾してるんだよ。父親に反発し、否定したくなる。でもその父親に認めてもらうことを強く望む。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?