『国道沿いのファミレス』

畑野智美さんの作品。

ファミレスのチェリーガーデンの社員として働く善幸と、善幸の親友のシンゴの物語。


善幸が会社で違う店に異動となった理由が、可哀想だと感じた。

粧子と善幸のアルバイトへの接し方が、とても勉強になった。

綾ちゃんの元カレが意外な人物だった。

最後に起こったトラブルにきちんと対応した善幸が、かっこいいと思った。


印象に残っている文

社員とアルバイトの間には時に付き合っちゃうとしても、越えられない壁が必要になる。特に相手が女子高生の場合は鉄壁と言えるくらいに、強化しないといけない。

普通、愛人と息子と息子の友達の四人でご飯は食べない。子供が小さいならまだしも、自分と変わらない年の愛人の息子とどう接したらいいのか、分かる女の人はいないだろう。そういう普通じゃないことを父親は平気でしようとする。

同じ佐藤として、佐藤の扱い方は何となく分かる。相手が自分の好きなタイプだったら同じだねと言うが、嫌いなタイプだったら同じ苗字なのを懸命に忘れる。

優しい人は二種類いると僕は思っている。家族に大切にされ、友達や恋人にも愛され、人に優しくされるのも優しくするのも当然と思っている人。痛い目に遭わされ、辛い思いをして、痛みを分かっているから人に優しくしようと思っている人。

人形じゃないんだから、人にはいつも通りの顔なんてない。もしあるとすれば、それは仮面を被っているからだ。もちろん本物の仮面を被っているわけではない。見えない仮面を人によっては二重にも三重にも被っている。その仮面に慣れてしまうと、やっと出てきた本当の顔も偽物に見えてしまう。

女の子とは違い、男は買い物や映画のためにはつるまない。もし男同士で映画を見に行くなら、三人以上の大人数でイベントのようにして行く。

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