『帰宅部ボーイズ』


はらだみずきさんの作品。
はらださんは女性作家だと思っていたが、男性作家であることを知って驚いた。
私は学生時代帰宅部ではなかったが、帰宅部だったらどのように放課後を過ごしていたのだろうか。
時間の大切さは失ったときに初めて気づく。
野球部が主人公に嫌がらせをする場面は読んでいて嫌になった。

印象に残っている文

草野球や草サッカーしか知らなかった自分には、大人が介在するスポーツの意味がよくわからなくなった。

「おれはカナブンのなかでも、光り輝くカナブンになる。そう決めたんだ」

なぜそれほどまでに人を憎めるのか、レポート用紙三枚以内に書いて、明日までに提出してもらいたいくらいだった。

でも、もし自分に「普通」というメモリを与えるとすれば、「普通」というのも案外難しいのかもしれないと思った。

なぜ大人は、子供の夢ばかり気にするのだろう。自分の夢には、早々に見切りをつけたからだろうか。まだ人生の大半を残しているというのに。

「でもね、自分っていうのは、それまでの自分の経験の堆積なんだよ。」

「過ぎたことだけが、自分のなかに残る」


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