『まっすぐ進め』

石持浅海さんの作品。

ふたつの時計、ワイン合戦、いるべき場所、晴れた日の傘、まっすぐ進めの5つの話が収録されている。

主人公の川端直幸は、書店で腕時計を片方の腕に2つはめている女性を見かける。

後日、川端は友人に誘われて例の女性と会うことになる。


腕時計を2つはめている理由がわかり、なるほどと思った。

千草の父親が千草の夫に傘を託した意味を知って、とても娘思いの父親だと感じた。

直幸はとても良い人だと感じた。

みさきちゃんには将来幸せになって欲しいと思った。


印象に残っている文

僕はどちらかといえば、人畜無害派だ。女性からは、友達として見られても、男性としては見てもらえないケースが多い。第一、二十七歳の男に対して「かわいい」と言っても、お世辞にはならない。

高野さんは表情の選択に困ったような顔をした。嬉しそうに笑おうとしたのを、意志の力で止めたような感じ。

過去の彼女も、今の彼女も、高野秋なのだ。彼女が何を抱えているにせよ、僕は高野さんが好きになったのだ。そう自覚した途端、好きだという感情が、すっと胸に染みこんでいった。

自分の本棚を見せるのは、自分の内面をさらけ出すことだ。いくら好きな女性でも、いや、好きな女性だからこそ、内面を見せるのに抵抗があった。

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