『暗いところで待ち合わせ』

乙一さんの作品。

事故で視力を失ったミチル。ある日ミチルは自分の家に他人がいることに気づく。実は殺人の容疑をかけられたアキヒロがミチルの家に入り込んでいたのだ。事件の真犯人は一体誰なのか、2人の関係は今後どうなっていくのか…。

事件はどのように解決していくのか気になっていた。食パンの数が減っていることで家の中に誰かがいると気づいたというのがとてもリアルだと思った。アキヒロは一歩間違えたら不法侵入で警察にもっと早く見つかっていたかもしれない。表紙を見てホラーな内容だと思っていたが、とてもいい話だと思った。また読んでみたいと思った作品だ。

印象に残っている文

点字は、突き出た点を指先で読むものである。しかし、点字を打つときは、点筆で穴をうがつようにする。したがって、左から右へ読める点字を作成するためには、右から左へ点字を打って紙を裏返さなければならない。

だれかと話をしていると、なぜかわからないが、自分が否定され続けているように思えてくるからだ。

いつも群れになって行動している人々が、理解できない。よほど他人に合わせるのが上手なのか、鈍感なのか、大勢の中に自分が埋没していても、平気なのだろう。

バスは割合に好きだった。信号待ちなどでふいにエンジンの音さえも消え去る瞬間がある。とくにそれがいい。

みんなで楽しく盛り上がっている場所よりも、静かに盛り下がっている場所のほうが、居心地がよさそうだった。そう考えるとき、自分は、世界という名前のシチューの中で、溶けずに残った固形スープのようだと感じる。


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