『雪と心臓』

生馬直樹さんの作品。

双子の姉の帆名と弟の勇帆の物語。


帆名がおもちゃの「おっぺけぺ」を川に投げずに取っておいたのが優しいと感じた。

苅田先生にバンドで仕返しをする帆名がすごいと思った。

答辞で離婚寸前の両親のことを話す帆名の強心臓ぶりに驚いた。


印象に残っている文

何事にかんしても勝敗にこだわる同級生が増えたことで、いつしかクラス内でもその勝負ごとを楽しめるいわゆる有能組と、楽しめない残念組とがはっきりと分けられるようになってしまった。

親(とくに母親)というのは、子供のおもちゃにかんしてまったく見ていないようで、じつはしっかりと見ているものだ。どれがうちのおもちゃで、どれがそうでないか。親に無断でよその家から借りてきたり、あるいはもらってきたりして、それが原因でトラブルが生じることを懸念しているからである。

とくに男子は単純だ。昨日の敵は今日の友、を地でいった。くらべて女子は慎重で、無駄に交友関係は広げず、つねに少数の仲良しグループで行動していたように思う。男子が綱引きなら女子は騎馬戦。そんな印象だった。

「無理してレベルの高い学校にいっても、あとがしんどいだけだろ。ヒーヒーいいながら高校生活を送りたいの? 自分にあった場所で、自分にあった連中とつるむのが一番。その結果いまの友達を失っても、まあ、しょうがないね。そういうもんじゃん、大概」


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