『旅猫リポート』

有川ひろさんの作品。


サトルは人格者で誰からも愛される人だったことがよくわかった。

父親が厳しいコースケが家で猫を飼ってもらえるように、学校の屋上に行くというアイデアが面白かった。

「修学旅行中に両親が事故で亡くなった連絡が来る」文字だけでも悲しみが計り知れない。実際に自分の身に起きたら、数日は何も手をつけられないと思う。

ヨシミネが修学旅行中にサトルと一緒にホテルから抜け出す場面が印象に残っている。教師側の立場だったら「そんなことしないでよー」と感じるだろうと思った。


印象に残っている文

猫にとって春に産まれるということは大いなる幸いである。猫にとって恋のシーズンは概ね春と秋の二回だが、秋産まれの子猫はそのほとんどが冬を超えられない。

めったに会わない遠くの親戚なんか、子供にとっては他人と一緒だ。友達のほうがよっぽど近くだ。どうして大人はそんなことも分からないのか。

「宮脇悟、よろしくな」仲良くしようぜ、なんて言わなくてももう友人関係は成立していた。

動物は命が尽きて斃れたところでそのまま眠るが、死んだ後の寝床を用意しておくなんて、人間はとても心配性で不自由な生き物だね。

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