『倒産続きの彼女』
新川帆立さんの作品。『元彼の遺言状』の続編である。
弁護士の美馬玉子は剱持麗子とタッグを組んで、企業の内部通報について調査をしていく。
醜いアヒルの子の定理が興味深かった。
玉子の生い立ちを聞いて、今までよく司法試験の勉強を頑張ったなと感じた。
企業を倒産させるという目的とその手段に驚愕した。
印象に残っている文
職業や忙しさでマウントをとっても不毛だ。女同士でも不毛なのに、男女間なら尚更だ。
案件規模にもよるが、通常、法律事務所では三人くらいのチームで動くことが多い。一番上にはベテラン弁護士、その次に中堅弁護士、そしてその下に若手が入る。
通常、弁護士として十年ほど働いて、三十代半ばになると、「パートナー審査」にかけられる。「パートナー」とは、自分自身でクライアントを獲得して、事務所を共同経営するメンバーのことだ。
誰かに同情されるのは嫌いだ。だけど自分の大変さについて、誰かに理解され心配されたいという気持ちはある。それが厄介なのだ。
不幸を語っているようでいて、その不幸を切り抜けた自分の自慢をしているのである。私はこういう人が一番嫌いだ。自慢するような不幸は、不幸じゃない。
「じいさんが、よく言っていたやろ。干し柿になるのは、そのままじゃ食べられない渋い柿。乾いた風にさらされて、うんと甘くなる。人生の前半で苦労したことは、決して無駄にはならんのよ」
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