『監禁』

秋吉理香子さんの作品。

看護師の由紀恵は今日の勤務を最後に、病院を退職する。しかし、娘と留守番しているはずの夫と連絡が取れなくなる。


事件が無事に解決したと思ったら、由紀恵のセリフに驚かされた。この一言で鳥肌が立った。

恐ろしい人物が多く登場して、絶対身近にいてほしくないと感じた。

看護師長がとても良い人で、サンタの扮装をしてプレゼントを配る企画が素晴らしいと感じた。


印象に残っている文

3Kとかいう言葉があるけれど、看護師はそれどころか8Kだと常々感じている。「きつい」、「汚い」、「危険」に加えて、「休暇が取れない」、「帰れない」、「給料安い」、「規則が厳しい」、「化粧が乗らない」と続く。

だけど正直、好物を作ってくれるより、たとえ好物じゃなくても自分で考えて作ってくれた方が嬉しいーーというか心から助かる。それでなくても毎日、献立に悩まされているのだ。どうして「僕が作ってあげます」というメニューを、この忙しすぎて疲れ切った頭でひねり出さなくちゃいけないの?

「イクママとかイクジョという言葉はないのにね。女が育児をするのは当たり前なのに、男がするとイクメンともちあげられるのはなぜなの」

色々な患者がいる。たとえ同じ病名での入院であっても、不妊治療中であったりアレルギーがあったりと背景は様々で、その都度の判断や機転、対応が求められる。だから入院患者の受け入れにはいまだに緊張し、どっと疲れてしまう。

身体完全同一性障害かもしれないーー医学部で習ったことを思い出した。健康に産まれた自分の体を、逆に不自然であり不自由に感じることだ。自分の指や腕、足を切断したり、わざと失明することで本来の自分の姿に戻れたと感じるらしい。


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