『DRY』

原田ひ香さんの作品。
主人公の藍は自分の不倫が原因で、夫と離婚して経済的に厳しい生活を送っている。ある日、藍の母が祖母を負傷させたことによって留置所へ入ってしまう。

美代子が介護しているのは一体誰なのか、ずっと不思議に思っていた。
ミイラの作り方というのを初めて知った。スプーンを使って脳をほじくり出すというのは、絶対できないと思った。美代子はよく今までこのことを隠し続けていたと感じた。
祖母の生活保護を申請するために、藍がうつ病の診断書をもらいにいく場面がとても印象に残っている。うつ病は、何の理由もないのに気分が落ち込むものだとは知らなかった。

印象に残っている文

母の嘘にはいろいろな理由があったが、一番多いのは、馬鹿みたいな見栄のためだった。くだらない小さな見栄のために、小さな嘘を重ねる。そして、どんどん人が離れていく。

夫も妻のことを知っているかもしれないが、妻は夫のことをずっとよく知っている。彼が自由になるお金ぐらいお見通しなのだ。

「かわいそうねえ、とか、大変でしょうねえとかさ、何かあったら手伝いますからねえ、とか言って、何もしてくれない人。大嫌い」

女は女に料理を作るのが一番いいのかもしれない。その本当の価値がわかるのは、同じことをしている人間だけなのだから。

「殺人で立件する前のさ、まだ容疑が固まっていない時に、取り調べのため、死体遺棄で警察に留め置くのさ」

「なんの理由もないのに落ち込む、眠れないというのが、うつ病なんですよ」

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