『偽りのラストパス』

生馬直樹さんの作品。生馬さんの作品は初めて読む。

中学生の陽司はバスケット部に所属し、全国大会を目指して練習に励んでいる。

ある日、母親が知人から頼まれて知人の甥っ子と一緒に住むようになる。


陽司がライバルと競い合って全国大会を目指す姿、兄弟の絆などさまざまな注目ポイントがあって、とても楽しめた。

貴志祐介さんの『青の炎』と共通点があるように感じた。

小金井が家に仲間を勝手に連れてくるシーンは読んでいて不快な気持ちになった。

ラストがとても切ない。


印象に残っている文

父の事故死。あのときから、見原家の先行きはいつだって「くもり」だった。

「でも、それだとプラマイゼロにならない?」「それをいうなら見原君も一緒でしょ。いまは大凶、あたしと交換して大吉。プラマイゼロだよ」

「母子家庭の事情は充分承知していますがね、あまりお子さんを一人にさせすぎないでください。親は、夜八時には家にいるのが理想です。何もしなくても、たとえ高学年になって話をしなくなっても、親と一緒にいられる時間は子どもにとって大きな安心につながりますから」中略「親が子供に対して、自分は仕事をがんばるから、あなたたちも家事やお留守番お願いね、といった気持ちになるのは、ひとり親家庭にかぎらず、よくあることです。ですが、子どもは親が守らなければいけない存在であって、生活していくうえでの対等なパートナーではないし、戦友でもないんですよ。子どもが子どもらしくいられることが何より大事なので、そのことをよく考えて、お子さんと接してあげてください」

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