『物件探偵』

乾くるみさんの作品。

「田町9分1DKの謎」、「小岩20分一棟売りアパートの謎」、「浅草橋5分ワンルームの謎」、「北千住3分1Kアパートの謎」、「表参道5分1Kの謎」、「池袋5分1DKの謎」の6つの話が収録されている。


不動尊子さんに、自分や知り合いの家の声を聞いてもらいたいと感じた。

「北千住3分1Kアパートの謎」が一番好きな話だ。大田原の意図を知って、優しい人なのだと感じた。「表参道5分1Kの謎」の真相には驚いた。

どのお話も意外な真相が待っていて、面白かった。


印象に残っている文

「ふどうそん……こ?」「いえ、ふどう、たかこです。人からは当然、不動さんと呼ばれます。」

といっても不動産サイトに掲載されている「利回り」はほとんどが「表面利回り」と呼ばれているもので、投資額(出資)としては「物件の価格」しか考慮されていない。実際には初期投資だけでも、不動産屋に支払う仲介手数料や司法書士に支払う登記費用、あとは不動産取得税などがあり、さらに恒常的なコストとして毎月の管理費や修繕積立金、年一回の固定資産税などといったものがあるので、投資として検討する場合には、本当はそれらを加味した上で収支計算をしなければならないのである。

『ちなみにあの外壁が斜めになっているのはなぜか知ってる?』『日照権とかそういうのだろ?』『それもあるんだけど、日差しだけの問題じゃなくて、地面にいる人が空を見上げたときに、一定以上の広さで空が見えるようにということで、そこに日照権も含まれているんだけど、斜線制限というのがあって、基本的には建築基準法の中でそういう決まりがあって、住宅密集地にある高いビルとかは引っかかることが多いんだ。』

自宅以外に趣味のための部屋があるということ。これぞ男のロマンである。

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