『たゆたえども沈まず』

原田マハさんの作品。

フィンセントとテオのゴッホ兄弟。日本人画商の林忠政とその助手である加納重吉。この4人が物語を通して、関わり合っていく。


テオのフィンセントに対する献身的な行動が、心に深く刺さった。

フィンセントが息絶える前に、テオと会うことができて本当に良かった。

フィンセントが生きているうちに作品が評価されていたら、彼はどのような作品を残していたのだろうか。読み終わったあと、そう思わずにいられなかった。

冒頭をもう一度読んで、会話の意味を理解した。


印象に残っている文

「……イギリスには、パリがないからです」

暗い海から突然引き上げられ、今度は光り輝く遊園地の真ん中へ放り込まれた、という感じだった。

冨嶽三十六景は追加で10増えて、最終的には四十六景になった。

一心不乱に、描いていた。殴りつけるように、泳ぐように、踊るようにーー絵筆をカンヴァスにぶつけていた。

誰が誰を紹介するのか、どの入り口から入っていくかによって、新規のゲストの立ち位置が決定的なものになる。それがパリ社交界のルールだった。

どんな画家も、ここに来れば、まずはあっけにとられる。そして、次第に慣れてくると、夢をみ始める。いつか自分の作品がこの美術館の壁を飾る日がくる夢を。それがどんなに難しいことか、誰にだってわかる。けれど、その日を夢みない画家は、画家ではない。

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