『自殺予定日』

秋吉理香子さんの作品。
高校生の瑠璃は、亡くなった父が実は継母に殺されたのではないかと考え、罪を告発しようと自殺を決意する。瑠璃は首を吊って自殺しようとしたが、失敗してしまう。その後、幽霊の祐章と出会った。

六曜とともに話が進んでいくところが面白かった。
瑠璃の父が語る、料理人のセンスが試される料理や一流ホテルの見分け方がとても勉強になった。
仲直りのときには相手の写真を撮るというのを、今度人と喧嘩をしたときにしてみたいと感じた。
生命保険について、よく期日を確認しておくべきだと感じた。

印象に残っている文

ギロスとはギリシャの料理で、肉のスライスを何層にも重ねて固まりにし、スパイスをもみ込み、ゆっくりと回転させてあぶり焼きにしたものだ。表面の焼けたところをそぎ切りにして、ピタパンなどに挟んで食べる。

親というものは無敵で不死身だと子供は思っている。いつでも、そしていつまでも元気で、叱ってくれて、抱きしめてくれるーーそういう存在なのだと。

もともと風水では、写真は仲直りのアイテムである。相手の写真の裏に相手の名前を書き、それに向かって謝るといい。そして写真は新しいほど効果があるとされている。

父が厚焼き卵で料理人のセンスがわかると言っていた。火の通し具合。塩加減。スパイスの効かせ方ーーバランスが、とてもむずかしいのだと。
父はいつも、「ホテルの質は、ラウンジのミックスジュースを飲めばわかる」と言っていた。新鮮な果物を使っているかどうか。どんなグラスに入れてくるか。ちゃんと作りたてが運ばれてくるーーつまりキッチンと運び手の連携がスムーズにいっているーーかどうかなど、コーヒーや紅茶より、その店の管理体制を推し量りやすいということだった。

ロシアを代表するスープ、ボルシチ。あの真っ赤な色は、ビーツの色なのだ。

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