『罪の轍』

奥田英朗さんの作品。


寛治が犯人ではないことを願っていたが、犯人であったため残念。

ただ、寛治にも感情移入してしまった自分がいた。

警察側が寛治を自白させようとするシーンが印象的だ。

昭和の警察の雰囲気を知ることができて、面白かった。


印象に残っている文

捜査が長期化すると、刑事は家族を忘れる。そうならないよう自分を戒めているが、思い出すのは三日に一度だ。

「さすがはニールだ。みんなも覚えておけ。会社内のことは退職者を捜して聞くのが捜査の鉄則だ」

「有難迷惑ってやつか。まったく日本人は、他人をそっとしておいてやるってことが出来ねえからなあ」

鬼畜の所業を目の当たりにしたとき、何か理由を見つけないと、人は不安で仕方がないのだ。

↑人は犯人に対して何か正当な物語を求めてしまう。

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