『三階に止まる』

石持浅海さんの作品。

「宙の鳥籠」「転校」「壁の穴」「院長室」「ご自由にお使いください」「心中少女」「黒い方程式」「三階に止まる」といった話が収録されている。


一番好きな話は「壁の穴」だ。

「ご自由にお使いください」のオチがとても好きだ。

「黒い方程式」は最後が良い形で終えられて良かった。

「三階に止まる」に出てきた物件には、住みたくないと感じた。



印象に残っている文

観覧車はジェットコースターと違って、よーいどんで動き出す乗り物ではない。ゆっくりと、止まらずに動き続けている。客がいようがいまいが関係なく回る、孤高の存在。自分たちは、そんな観覧車の行為に、一周だけつき合う。そして離れていく。

志穂は首を傾げた。しかしその表情は、何を言われているのかわからないという、素朴なものではなかった。察しはついているけれど、あんたの口からちゃんと言いなさいよ、という顔。

「女の子を前にこんなことを言うのもなんだけど、いくら美女がすぐ傍にいても、『この人、苦手だ』と思った瞬間、男は逃げたくなるんだ」

欧米人を見よ。頭がはげ上がっていても、見事な髭を生やしているために立派に見える人の、なんと多いことか。


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