『凪の司祭』

石持浅海さんの作品。

かつてゲリラ豪雨により亡くなってしまった恋人の仇を取るために、ショッピングセンターでのテロ行為を計画した男女。しかし、決行当日にメンバーの1人が殺されてしまう。

カビで人を殺すというのが、とても斬新なアイデアだと感じた。

五人委員会で、さまざまな状況をシミュレーションして方針を決めていく場面が印象に残っている。

なぜ「凪の司祭」というタイトルがつけられていたのか、途中までわからなかった。しかし、最後にそれが明らかとなり驚いた。


印象に残っている文

通常、ロブスタ種はアラビカ種よりも一段低く扱われている。モカやキリマンジャロといった有名な豆は、華やかな味わいのアラビカ種だ。

受け売りをまるで自分の知識であるかのように語るほど、恥ずかしいことはない。

缶コーヒーでも飲みながら待とうと考えたときは、それほど飲みたいわけではなかったけれど、ないとわかると飲みたくなる。

彼女は、三枝が自分を愛していることに気づいていないのだろうか。気づいている。気づいていない。どちらもあり得ると思う。女性は、男の浅薄な心づもりなど、簡単に見抜いてしまうからだ。そして、気づいたことを完璧に隠すことができる。

「モモちゃんにも説明したことだけれど、カビを増やす行為は、ビールの醸造とたいして変わりはない。大切なのは、カビが繁殖する環境を整えてやることと、他の雑菌を入れないことだ。温度管理をしっかり行って、餌になる栄養素をバランスよく与える。そして周囲を清潔にしておけば、目当てのカビだけを台所で増やすことは、十分に可能だ」

「紙風船なら、錘をつければ遠くまで投げられるし、コントロールも利く。外から力をかけてもくしゃっとへこむだけだから、ダメにならない。それでいて、爆竹一本で完全に破壊できる。人ごみの上空に投げて破裂させるには、ちょうどいいんだよ」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?