『風景を見る犬』

樋口有介さんの作品。

沖縄のスナック『さつき』を経営している母親と、そこに住む息子の香太郎。ある日、周りの人が殺されてしまい、事件の真相を探る。


二十歳だと思っていた朋美が、三十二歳だと知ったときの香太郎に同情した。

柑奈が香太郎の汗の臭いをチェックするのが、面白いと感じた。

山羊の睾丸の刺身は食べたことがないので、食べてみたい。


印象に残っている文

「やっぱり自分探しの旅で?」「自分のなに?」「そういう旅が流行ってるらしい」「自分なんかわざわざ探さなくても、いつも自分と一緒じゃない」

「沖縄ではナスとトマトもキュウリも、みんなまずい。昼夜の温度差が少ないから仕方ないんだ」

「沖縄って、政治や基地や利権の問題に関わらなければ、ぼんやり暮らせるのよね。人生に疲れた中年女が呑気に暮らすには、ぴったりみたい」

しかし世の中には、冗談受容遺伝子欠損症みたいな人間が、たぶん、いる。

人間はその宿命のなかでしか生きられない。もしそうだとしたら、ただ見ているだけで心が和んでしまう女子が目の前にいることを、ぼくは、宿命だと思いたい。


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