『樽とタタン』

中島京子さんの作品。

「町内会の草野球チーム」が一番面白かった。学生さんの語る理論がとても興味深かった。

タタンの名付け親の小説家はどんなお話を書いているのか気になった。

最近は防犯意識が高まり、喫茶店に子供が長居するというのが起こりづらいと思った。


印象に残っている文

あちらでもこちらでも人は逝き、残された者は何も知らないままに生きている。それがわたしたちの現実だというのなら、たしかにそのような現実を我々は生きている。

もし、漫画のように、頭の中で考えていることをフキダシの中に入れて書くとしたら、「噛みついて食べちゃいたい」と思っているに違いないような目と指で、女はトミーを扱っていた。

「うん。おれは、そう思ってる。人が死ぬだろ。そうすると、人はもう、そのときに、電気が消えるみたいに、気持ちや痛みやなんかも全部ぱっと消えて、楽になるんだ。」

トウガラシ入りの靴下を履いて、走る。

「小説家に聞いちゃいけない質問が一つだけある。『それはほんとう? それとも嘘?』ってやつだ。」

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