『プリンセス・トヨトミ』

万城目学さんの作品。映画化されていることは知っていたが、話の内容は全く知らなかった。

会計検査院という職業について全く知らなかったので、とても勉強になった。鳥居のような人物が同僚や友達にいると、人生が楽しくなるはずだ。


親を亡くした大人だけが知る大阪国の存在。普段は何事もないように振る舞うのがとても面白そうだ。


印象に残っている文

新幹線の座席チケットは、縦に並ぶように買う。会計検査院において、不文律とされている出張ルールである。

内閣だけではない。国会、裁判所にも属さない。会計検査院は内閣、国会、裁判所、いずれからも独立した機関なのだ。

新しいインクの香りに、鳥居の大腸は如実に反応を示す。

「世の中でいちばん難しいことって何やと思う?」
中略
「ずっと、正直な自分であることや」

妬み、嫉み、僻み。人のネガティブな感情は様々あれど、なかでも、この三つの感情を男がこじらせたときほど始末の悪いものはない。

「ですから」という順接の単語を、彼らはしきりに用いた。翻って、調査官からは「しかし」という逆接の言葉が、発言の冒頭に頻出した。「ですから」と「しかし」のせめぎ合いは、互いに歩み寄ることなく、どこまでも平行線をたどっているかに見えた。

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