『貘の耳たぶ』

芦沢央さんの作品。

繭子は帝王切開で赤ちゃんを産むが、出産後の不安感から自分の赤ちゃんを知り合いの郁絵の赤ちゃんと取り替えてしまう。


自分の子どもが実は他人の子どもだとわかったら、どんな気持ちになるか想像もしたくない。

繭子の母親がくれた自転車についてのエピソードが、とても不運だと感じた。

繭子が航太の一重に合わせるため整形しようとしたが、やっぱりやめた場面が、印象に残っている。


印象に残っている文

「初乳ってすごく大事なのよ。ママの免疫がたくさん含まれていてね、それをもらった赤ちゃんは半年は風邪もひかないくらい」

「たとえば、生理でのホルモンバランスの変化をビル二十階くらいだとすると、出産での変化はエベレストくらいなんです。そのくらい一気に身体の中でホルモンが切り替わっている時期だから、いろいろ神経質になったり不安定になったりもするけど、それも一時的なものですからね」

そうか、生まれたまさにその日は、〇歳の誕生日なのか。ケーキもプレゼントもない、初めての誕生日。

『共感して受け止めてあげるのが大切なんだよね。何々しなさいって頭ごなしに言うんじゃなくて、何々するのと何々するの、どっちがいい? って選ばせてあげるのもオススメだよ。後は、腹話術みたいにぬいぐるみに話しかけさせてみるとか』よ

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