『ロマンシエ』

原田マハさんの作品。


トランスジェンダーの美智之輔と小説家のハルさん。

どちらも個人的な悩みを抱えながら生活している。

美智之輔が他人にトランスジェンダーだと気づかれないようにしているときの文章が印象に残っている。

「少しでも他人と違ったら『おかしな子』だと思われてしまう。仲間はずれにならないように、自分を殺し、仮面を被って、生きてきた。」


美智之輔の語りがとても面白かった。様々な作品を引用しながら「わかる人にはもっと楽しめる」語りであった。

作中に出てきたブランケット・ド・ヴォー(仔牛のクリーム煮)を食べてみたいと思った。

「ーーやりますッ!」とあたしは、即座に食らいついた。送り札をとった綾瀬千早レベルの素早さだった。
ーーアーティストにとって、ユニークであることは、天才であることよりも、はるかに大切なことなんだよ。
少しでも他人と違ったら「おかしな子」だと思われてしまう。仲間はずれにならないように、自分を殺し、仮面を被って、生きてきた。
君が生きているその場所。そこは、決して世界の端っこなんかじゃない。君が叫んだその場所こそが、ほんとの世界の真ん中なのだ。


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