見出し画像

2022年TCS16でのリアル脱出ゲーム開催の雑記② making編

自己流リアル脱出ゲームの作り方編です。
『リアル脱出ゲームの作り方』なんて記事は私も見たことがないのでもしかしたら誰かの参考になるかもしれません。
ただあくまで自己流で四苦八苦しながら作ったものなので過剰な期待はしないで下さい。
後は基本的には関係ないですが本編のネタバレも含みます。

ちなみに今回のTCSでの脱出ゲームですが大雑把な内容は
七人チームで攻略に臨み、閉じ込められた一つの部屋から一時間以内に謎を解き明かし脱出条件を満たす事でクリアできるというものです。
チームの味方という体のNPCがいるのでそれがガイドしたり手助けをしたりストーリーを進めたりしてくれます。
後fateオマージュなのでマルチエンディングです。

まずはパンフレットはこんな感じでした。


2022TCS16脱出ゲームパンフレット

①条件を絞る

無限のキャンパスに無限の画材を渡され「さぁ好きなものを描くがいい」と言われて困らない人良いですが私は困る人なのでまずは縛る事から始めます。①の様に順番を振って説明していきますが実際のところこの辺はどこから先に決めていくかはその時によります。

TCSの場合はまずは
・クライアントの出した条件
・使える会場の広さ
・対象人数
・時間
・資金
・その他リソース
・その他条件

この辺です。

・クライアントの出した条件
クライアントというか文化祭なり学祭なり興行するなり色々でしょうがその場にあったものがあります。条件はまぁ様々ですが大雑把に言えばルール。
ものすごい雑な例えをしますが日本内の会場で開催する場合貴方は全裸になって参加者の前に立ち運営をしてはいけませんし参加者を殺すギミックも採用をしてはいけません。
会場管理者に静かにやって欲しいと言われれば大きな音を出す演出は使えません。室内会場である場合火を使うことは難しいでしょう。
後は1回の公演を何分くらいにしてほしいのかとかそれは様々でしょう。
事前に十分な打ち合わせと必要です。
今回のTCSの場合は床面積と南近代ビルで行うという部分です。
まぁわりと緩い縛りです。

・使える会場も広さ
これは床面積の話です。
これは一回ごとの参加人数の参考にもなります。
例えば『廃バスからの脱出』なんかの場合人数は多くはできないでしょう。
今回のTCSの場合は4.5m×6mのスペース
なので2~3人のチームを2~3チーム作ってプレイするか、10人以下のチームで行うという感じになるでしょう。

・対象人数
雑目に言うと客入りの話です。
何人来るのか。赤字とか黒字とかの話にもなりますが100人は遊びたい人が想定される場合時間の間に100人がプレイできるように考えていかないといけません。
それで一回何人で何回やらないといけないのかが分かります。
TCSの場合は正直分かりません。回数を重ねる毎に参加希望者は増える傾向にありますが何せ情報が足りません。
前回同等もしくはそれ以上の回転が欲しいところですが今回のTCSでは実際に参加できた人数より希望した人の方が多くその点は今後の課題です。

・時間
これは対象人数をはじめ前条の部分を参考にするところです。
今回のTCSの場合は一回一時間のがやりたいというところで決まりました。

・資金
これはまぁ個人の資金力と儲けを出さないといけない場合は上記の様々な条件が関わってきます。道楽で開催する場合はこれは本当に個人の問題です。
TCSの場合は基本的に抑えていく……くらいの方針です。

・その他リソース
これは本当に様々ですが何人スタッフを使えるのか、会場に何があるのか色々です。資金を気にせず使えるリソースという意味合いもあります。
TCSの場合はスタッフと会場にある机や椅子なんかになります。

・その他条件
上記以外ですね。
パッと思いつかない事というのもありますが個人的な製作時間をどれくらい確保できるかとかあると思います。
コミケに受かって新刊落としましたじゃ話になりません。

②どんなものを作りたいか

やれることを絞ったところでやりたい事を考えます。
この辺は既にあると楽ですね。

とりあえず前提になるところですが

・遊んで楽しいものを作りたい。
まずはこれです。その前提の上で作ります。
カイジの中で脱出ゲームをやるならそこは適度に考えればいいですがあくまでエンターテイメントですのでアミューズな感じで行きたいところです。


なので
・プレイ中にやる事がある。
・何していいのかわからなくならない。
・恥ずかしい行動を要求しない。
・普段できない体験をしてもらう。
・理不尽ではない。

この辺を満たしつつ理想は「いつのまにか一時間たっていた」「一時間を短く感じた」と思わせる事です。
暇な時間は本当にいけません。これは絶対に避けなければなりません。
例え問題が全然わからなくても何もすることがないは本当につまらないです。
自分がチームに貢献していないというのは脱出ゲーム中最大のストレスです。

この辺を心にとめつつ次の製作に移ります。
私の場合は次に決めるのがテーマです。

TCSの場合『Tetsu』があり『Fateっぽいなにか』というのがTCSを通してあります。
なので脱出ゲームを通して『Tetsu』に関わるという体験をして欲しいので『Tetsu』には出演をしてもらいます。
そして『Fate』の要素があるのでプレイヤーにはマスターになってもらい。『Tetsu』にはサーヴァントになってもらいます。
後は『戦い』『戦闘を攻略する』というのは欲しいところです。

今回の話ですが他に用意したテーマが
『分断』『アイテム』『科学』『裏切り』があります。

『分断』
ゲーム開始時にフィールド中央に隔壁が現れチームが二手に分断されます。
なのでチームはまずは隔壁の除去とチームの合流を目指しました。
状況的には壁があり視覚的に塞がれています。
ですが声によるコミュニケーションはとる事が出来ます。

この効果によりちらに
・手元にある情報はこちらで必要ないがあちら側で必要なのではないか?
・比較的単純な問題でもチーム間のコミュニケーションを要求すると新しい切り口になる。

なんかがあります。
工夫ができる要素でわりと気に入っていました。

『アイテム』
アイテムをいっぱい用意しよう。
これは何となく決めたテーマです。
何となくです決めたテーマですが分断が発生する以上少人数になるシチュエーションが発生し問題に詰まる事は想定されます。その時にフィールドを探索しアイテム収集をしたりヒント収集で手持ちぶたさ防止します。

『科学』
これも何となくですが科学的なギミックを入れたいなというのがありました。
候補として挙がったのが『紫外線』『温度差で消える塗料』『偏光板』『光と色によって消えるやつ』『phによる変化』がありました。
これは変化を狙ったギミックに利用しました。
今まで見てたものがアプローチを変えることによって違う見え方をする。
定番の見せ方ですが科学というか化学は特に得意ではないのであまり珍しいギミックは思いつきませんでした。

『裏切り』
FGO名物最後に裏切るおっさんネタをやりたかったので採用しました。

③まずは取り掛かり

取り掛かりパターンは私の場合大体二つ
・ストーリーを考える
・『最後の謎解き』をどんなものにするか

この二つを並行して考えながら進めます。

今回の場合は
ストーリーはTetsuと合流して敵をぶっ倒すという前提があるのでそこまでの道筋を立てるのがストーリーです。
ただ脱出しました! Tetsuと合流しました! win! では面白くないのでただTetsuと合流するだけではダメという展開を作る為にTetsuに何かを渡すようにしました。
そしてそれを『最後の謎解き』で『科学』による変化と合わせる事にしました。
そしてそれをストーリーと繋げるために考えたのが『ウイルス』『生物兵器』です。
これらはプレイヤーが閉じ込められている理由に採用されました。

この時点で
『生物兵器』で部屋の外に出られない→密室から出られない理由
『生物兵器』から逃れるために部屋をシェルター化させる。それに伴い隔壁が作動しチームが分断される→『分断』するための理由付け
『生物兵器』に対抗するために人数分の『ワクチン』を手に入れないといけない→クリア条件の設定
外にいる『Tetsu』の分の追加の『ワクチン』が必要→隠れたクリア条件の設定
『敵』はプレイヤーと一緒にいるが脱出までは決して裏切らない理由と仲間の振りをする理由の設定→『裏切り』ネタの採用

これらの流れを考慮した上『最後の謎解き』のおおまかな展開を設定しました。

④取り掛かりで全体のイメージを作って謎解きの製作へ

まずは『最後の謎解き』と『密室を解除するための謎解き』の製作です。
位置的には『最後の謎解き』が隠し問題。『密室を解除するための謎解き』が見かけ上の最後の謎解きです。
『最後の謎解き』は『密室を解除するための謎解き』の発展問題に設定したので『密室を解除するための謎解き』を作りました。そしてその解法を応用する問題として『最後の謎解き』を作りました。
これで謎解き上と謎解き製作上のゴールができました。
あとはこのゴールへの整合性を確保しながらそれ以外の問題を作っていきます。
なので次は最後を除けば一番大きな変化である隔壁の解除による『分断』の解消です。
大雑把に『分断』解消までが前半戦、脱出が後半戦です。
この制作順番になる理由は大きなものはあとから変更するのが大変なのでまずは動かない大きなものから作り調整がしやすい小さなものを後から作って整合性を確保しやすくする為です。
なので大きな問題は動かさなくていいように入念に練ってから始めます。これを怠ると後で死ぬ目にあって修正や変更を加えることになります。

なので問題を作る順番は大きなものから作っていく。
問題①、問題②、問題③とあるなら
製作順は問題③→問題②→問題①となります。

こんな感じで問題を作って行きます。
基本的にはこれで謎解き自体は完成します。

ただ脱出ゲームはただの謎解きゲームではありませんのでこれでは終わりません。

だいぶ長くなったので続きは次回に
次回は問題ってどうやって思いつくの?

これは「私の方が聞きたいわ」と思うのですがまぁ綴ってみたいと思います。
正直「これはうまいな」と思う問題ってどうやって思いつくのか私が聞きたい。マジで聞きたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?