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白いポプラ 1月28日〜365日の香水

フランソワコティ
コティ社の設立は1904年、創業者のフランソワコティは調香師であり優れた経営者でもあった。
調香師としては1917年のシープル(シプレー、シプレス)の革新的な香りがシプレータイプという新しいカテゴリーをつくることとなった。シープルはキプロス島をさすが、そこに用いられたのはオークモスの苔の香り、バニラノートとウッディのアコードだった。シプレータイプはトレンドによって様相を変えながらも香水類のかなり重要なカテゴリーでありつづけている。
事業家としては、香水の大量生産に乗り出し成功させた人だ。
アールヌーボーの宝飾デザイナーだったラリックをパートナーにした。当初はラリック社はそれに見合う規模のファクトリーを持っていなかったので、デザインをしてバカラで製造していた時期もあった。
ラリック展で数多の香水瓶を目にするけれど、その多くはコティの香水のためのものだ。
フランソワコティはココシャネルとも親交があって、香水づくりに意欲を示し始めていた彼女に手解きをしたとも伝えられている。

事業継承とブランド継承
コティ(COTY)は、だからゲランやキャロン、もちろんシャネルとも並ぶ確固たるブランド、伝統あるブランドだ。シープル以外の名香も数えきれない。
ラリック製のボトルは今もブロカントや時にオークションでも取引される。
フランソワコティのなくなった後、継承権のあった娘は、事業を北米企業に売却する。
パリの名門コティは主戦場をアメリカに変える。
以後、資本を変えながらも、現在はティファニーやマークジェイコブスなどなど有名ブランドの香粧品を扱うCOTY社になっている。
サイトを見ても、社名はCOTYで歴史も1904年創業となっているけれど、肝心のコティ(COTY)ブランドが検出されない。
それでも社名にコティと冠するのは100年後も創業者の業績の威光が衰えることがないからかもしれない。この名がマーケットに残り続けることを私も願う。

Aspen/coty
アスペンというのはホワイトポプラのことのよう。
資本が代わり北米展開がメインになった後の香りの一つだろう。グアムでコティをまとめ買いした中の一つ。香りはウッディというよりホワイトフローラルに少しクマリンのような甘さの気配が漂う。コロンとなっているけれど、柑橘味はトップノートから特になく、ソフトな立ち上がり。ミドル以降にプチグレイン(オレンジの枝)やベティバーのようなウッディが静かに顔を出し始める。意外と!面白い匂い立ちだ。
ポプラというモチーフをなぜ選んだのか、どんなユーザーをペルソナにしたのか。
想像するしかない。

香り、思い、呼吸。

1月28日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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