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出現 7月6日〜365日の香水

巡る季節の不思議
暑くなったな、と思うと同時に、不思議だ〜と思うことがある。
わずか数ヶ月で気温が10℃15℃と変わることが、だ。
ダウンコートでもおかしくなかった数ヶ月前から熱中症対策で冷房が欠かせない今。
他に数ヶ月でこんなに著しく変わるものがあるのかしら?とつくづく思う。

夏と冬の統治者
炎帝、冬将軍というように暑さや寒さは私たちに君臨する。
この支配者たちは、日付が変わったら急にやってくるということではない。
少しずつ遠のいて、入れ替わりにもう一方が少しずつ近づく。
気配を感じさせながら、もうすぐかな、そこまでかなと思っていると、気がつけばもう、当面の統治者として居座っていた。
炎帝と冬将軍がニアミスすることはない。
私たちの今住んでいる地ではそうなのだ。
行ったことはないけれど、砂漠では昼夜で真夏と真冬の世界が繰り広げられる。

今日は雹が降った
そんなことを思っていたら窓に何かが当たる音。
今日の東京は夕方から俄かに雷鳴が轟いて、激しい雨。窓に当たったのは雹だった。

悪天候の室内で、荒れる空を見つめながらワインをいただくのが好きな私には、予想外の荒れ模様がちょっとしたギフトのように思える。

apparition/emanuel ungaro/2004
調香師はフランシス・クルジャン(francis kurkdjian)とフランソワーズ・キャロン(francoise caron)。自らの名を冠したメゾン(Maison francis kurkdjian)を率い、ミスディオール(miss dior)のパルファンもてがけたクルジャンの初期の作品である。

トップノートからラズベリーが際立ち、1990年代的なフルーティフローラルと思うけれど、ミドルノートから、華やかでスイートなフローラル(ローズやヘリオトロープ)が香り、ベースノートのバニラやパチュリまで流れがスムーズ。
知らぬ間にフルーティフローラルからスイートフローラルに香りは移っている。
一つの香りが特徴的なのに、複雑さがある。
いつのまにか季節が移ろうように、この香水のストーリーの中で、“統治者”が知らぬ間に変わっていく。

もう一つの意味
フランス語のappirition(アパラシオン)には、出現、登場などの意味のほかに幻や亡霊の意味もあるらしい。現れている、実体があることと、実体がないことを両方含む面白い言葉だと思った。
この言葉を冠した香水も、同じように明確なフルーティさと、いつのまにかそれが影を潜める変化があり、ユニーク。

香り、思い、呼吸
7月6日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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