グリーンウォーター✖️3 8月10日〜365日の香水
Greenの諸相
緑色、Greenといえばやはり自然のみどり、草原や草木、木陰を思わせる。
東洋世界では竹林や茶の湯、煎茶なども想起される。
一方で、欧米では「green with envy〜嫉妬で緑になる」という言葉もあるようで、モンスターの色や毒性のあるものと関連づけられる色であることも興味深い。
Green water?
今日の香水はこの季節にど真ん中と言えるグリーンウォーター(green water)だ。
感覚的には自然の湧き水や、田園の光景と結びつく響きのネーミング。
ただ、急流や滝の白い泡や飛沫をwhite waterと言ったり、煌めく海面の情景をgold waterと言ったりするように、このGreen waterという言葉があるわけではなさそう。
香水をリリースするにあたっての独自のネーミングのようだ。
Greenに込めた思い
1930年代から50年代にかけて活躍したフランスのファッションデザイナー、ジャックファット。
そこからグリーンウォーターが最初に出たのは1946年。第二次世界対戦がやっと終わり、世界が平和を取り戻しつつあった時。
これはメンズフレグランスとして登場しているから、やはり自然の中に身を置いて、心を解放して、再び活力を取り戻してほしい、というメッセージだったのかもしれないと想像する。
少し前までは空も海も戦場だった。
あるべき姿を取り戻し、自然に身を委ねていい時が戻ってきた。
だからもう一度、活き活きと、そういうヴィジョン。
Green water/jacques fath/1993
ジャックファットは1954年に世をさり、数年後メゾンはロレアルの傘下になる。
さらに1993年に別の資本がフレグランス部門を買収。この時に復刻させたのが伝説の名香グリーンウォーターだった。パッケージも香りも忠実に再現したという。
なので調香師は1946年版と同じヴィンセント・ロベルト(vincent roubert)。
あのコティのレーマンで知られる人だ。
レモン、ベルガモットなどのシトラスにバジルなどのハーブで涼感が与えられ、キャラウェイやモスなどで深みも出している。大地に根差した自然を感じさせる香り。
2015年にリニューアルされて再販されたようなので、グリーンウォーターは三度、登場したことになる。
現在のユニセックスのシトラスグリーンの全ての香水のお手本のような香水。
香り、思い、呼吸。
8月10日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。
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