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ご褒美にチープでシック 8月12日〜365日の香水

チープ&シック(cheap&chic)はモスキーノのファッション哲学でもあった。

チープとは
チープはラテン語で取引や市場を意味する言葉が語源に持ち、やがてお得な取引のような意味を持ち始め、最後は“安っぽくて質が悪い”というところに落ち着いた。
スタートからの変遷を考えると、お得や低価格に
は「訳アリ」が必ず伴うもので、俯瞰したら質に劣るものを手にしていた、という現在に通じるような人の欲望の縮図のようだ。

シックとは
シックはどうか。
これはドイツ語の身だしなみという言葉が19世紀フランスで粋な、洗練されたというまさにファッション用法になって定着したよう。ポールポワレやフレデリックウォルト、ココシャネルなどが登場した時代のこと。

チープとシックの四象限
チープの反対語は高品質、高価だろうか。そしてシック〜粋の反対は無粋。
そうすると面白い四象限ができてくる。

高価で粋
高価で無粋
安価で無粋
安価で粋(チープ&シック)

一番ダサいのは?
高価は高品質で置き換えてもいい。むしろその方が見方の解像度が上がりそう。
つまり、高品質が粋になるのは自然、同じように品質の悪いものが無粋になるのも仕方ない。
恥ずかしいのは高品質にも関わらず無粋であること。
逆に品質がイマイチなのに粋とは、かなりかっこいい。
価格や品質はどんなに頑張っても、いろいろな制限がどうしてもかかる。
でも粋にできるかできないかは、このチャンスは誰にでも等しく与えられてるのかもしれない。

一番ダサいのは権威を使うこと
星のつくようなレストランでギャルソンが不機嫌なのは無粋だけれど、町の食堂のちょっとした気遣いがすごく粋に感じることがある。
これがまさにエレガントかそうじゃないか、だ。
無粋は権威を使う。自分に権威があるように勘違いさえする。
エレガントな人はそういう愚かな履き違えをしないから、あらゆるものに尊重の気持ちが持てる。

今日は朝から、調合作業が順調で、チープ&シックという言葉を眺めながら、思考が迸り出た。
きっと、いつも私の中にあるものなのだろう。
エレガントな尊重。
権威に依存しない聡明な人に贈りたい。

l’eau cheap and chic/moschino/2001
「チープ&シックの水」というネーミングだけれど、シトラス&ハーブ系でもマリン系でもない。フローラルはユリやフリージア、アニスのスパイス、そしてアンバー、ヘリオトロープのパウダリーな甘さ、全体的に優しく控え目な感覚さえある。
ボトルデザインはポップに、香りはエレガントに、この裏切り方が粋かも。

香り、思い、呼吸。
8月12日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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