ダマスカス・ムスク 6月6日〜365日の香水
ダマスカス、シリア人カメラマンの撮影した美しい広場
シリアの首都としてのダマスカス・・・昨年、森美術館の「ワールド・クラス・ルーム」展で観たシリアの写真家 ハラーイル・サルキシアン/Hrair Sarkissianの作品群を思い出す。
とても美しい街並み、古代や中世の遺跡と現代が融合した街の風景だった。
タイトルを見て驚いた。
残酷な広場
「処刑広場」。
それは、過去に公開処刑が行われた広場の写真だったのだ。
(ダマスカス、アレッポとラタキアの3都市の広場だった)
処刑は早朝に行われることが多かったらしく、写真も一通りがほとんどない時間帯を狙って撮影されていた。
こんなに美しい光景の中で・・・。そういう思いでこの作品が心に焼き付いた。酷いことが行われるのはそれに相応する酷い場所とは限らない。
普段人が集い、憩うような場で行われることもある。
それが一層、残酷さを際立たせた。
ダイバシティ
ダマスカスは古代から都市としての歴史を持つ。
アッシリアやバビロニアの支配下にあった紀元前からローマ帝国の属領時代、7世紀にはムスリムに征服され、10世紀には十字軍の遠征もあった。
(この遠征でダマスクローズがヨーロッパにもたらされたとされている)
最強のオスマントルコの支配を受けた時代を経て第二次世界大戦後に独立したシリアの首都となり現在に至る。
かなり端折っているけれど、それでもメソポタミア文明、ギリシア、ローマ文明、中世イスラム文化、とにかくこの地にもたらされた文明文化の豊穣さは他を圧倒している。数千年をかけて培い、融合させてきたもの。
文明文化の宝庫のようなダマスカス。
特に中世イスラム文化は、蒸留器の発明、アルコールの発見など香りの歴史においても重要なファクトがここに集中している。中世イスラム社会がいかに先進で豊かであったか。ダマスカスはその中心にあった。
damascus musk/al-jazeera perfumes/2019
チベットや中国から入ったムスクは高価で豪華な交易品だったと思われる。古代中国やイスラム社会ではムスクは香料だけでなく薬としての用途もあった。
繁栄都市ダマスカスで最高級の贅沢品として扱われたムスク、そのようなストーリーが想起される。
香りはとても豊潤で濃厚。
スパイシー感があり、フローラルにはローズやイランイランなどが使われている。脂粉のような香調も魅力的で"真っ向勝負”のフローラルオリエンタルだ。
きらびやかで鮮やかで、官能的で寛容なイスラム文化、本来のダマスカスの魅力を思い出させてくれる香り。
香り、思い、呼吸
6月6日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。
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