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古き良き時代の皇帝 8月18日〜365日の香水

うたかたの恋
カトリーヌ・ドヌーブが主演した映画の邦題は「うたかたの恋」と叙情的であったけれど原題はマイヤーリンク、ハプスブルク家の皇太子が愛人と死を遂げた別荘地の名だ。
とても謎が多く、ハプスブルク家としては皇太子ルドルフの死は許されない関係を儚んで恋に殉じたと収拾する必要があったという。
マイヤーリンクの別荘にはルドルフの残した多くの手紙や“資料“があったけれど、全て破棄され、ルドルフ専用の屋形も取り壊され、地下まで掘り起こされて、跡形もない状態に帰された。
最愛の息子を思い出すもの全てを、葬りたかった深い悲しみ。

政治的な証拠隠滅
そう言われる一方で、完全なる証拠隠滅のため、とする見方もある。
当時ハプスブルク家が統治していたハンガリーの革命主義者たちと関係を持ち不穏な行動をとっていたとされる息子の国家に背くような陰謀の企て、その痕跡を抹消する必要があったと言われている。
皇后のエリザベートはヨーロッパ一の美女とうたわれ、最期はアナーキストに暗殺されるという劇的な生涯が舞台や映画にもなってきた。
息子のルドルフもこの心中により映画や舞台に取り上げられた。
そんな妻と息子の間で、半世紀以上の治世を誇った皇帝はなんか地味な存在に見える。

自称「旧世代」
フランス・ヨーゼフという人はヨーロッパ随一の名門ハプスブルク家に生まれ、長い治世の最後にその終焉を見届けた人と言える。その最中には前述の息子の心中、妻の暗殺、そして甥とその妻であった皇太子夫婦の暗殺、それを引き金にしだ第一次世界大戦の勃発もあった。開戦から二年後に波乱の生涯を閉じた。
自らが絶対王政への強い辛抱があり揺るぎなかった。
具体的な言葉は忘れたけれど、彼は自分の価値観について「時代遅れと分かりきってるけれど変えられない」というようなことを言っていた記憶がある。

似顔絵だらけ
時は流れて、戦後の社会でウィーンの街中にはフランス・ヨーゼフ一世の肖像画や名前が溢れかえったそう。いろいろあったけれど、皇帝の時代、古き良き時代に帰りたい、という市民の気持ちの現れという。
フランツ自身もお忍びで通ったという有名なデメルでもフランス・ヨーゼフとエリザベートの肖像をラベルにしたチョコレートが人気商品になっていたらしい。

今日が誕生日
帝国の統治者として伝統を重んじ伝統の継承者でなければならなかった皇帝のリミッターを外した時、そこにどんな素顔がのぞくのだろうか。
1830年8月18日に生まれた。

Kaiser Franz Joseph/violon parfme vienne
シトラスとウッディとラベンダー。
ライトでオーソドックスなフレッシュハーバル。
確かに、バスルームで清潔なタオルを抱えて侍る使用人を待たせながら、ゆっくり身繕いするような、古き良き正当を感じる。


8月18日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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