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ライトな彼 6月14日〜365日の香水

軽やかさの時代
トラサルディ(Trussardi)のライトヒム(Light Him)とライトハー(Light Her)は1997年にリリースされた。
いずれも香りのトレンドを存分に反映していて、すでにユニセックス感がある。
1990年代中ごろから、男女ともに香りの重厚なタイプは影を潜め、女性はフルーティで明るく、男性はハーブで爽やかに、共通してライトがトレンドになっていた。1980年代のプワゾン(poison/C.Dior)に代表されるような”主張”よりも、調和に香りのトレンドはシフトしていた。
昨日のライトハーは、瑞々しいフルーティノートから個性的なフローラルに移行していく香りの流れで、一貫して軽やかさがあった。
今日のライトヒムも、誰もが感じる心地よさ、清潔感を持って軽やかだ。

Lightのイメージの彼女、彼時に香水にはイメージの源泉になったミューズにような存在がある。
ジバンシー(Givenchy)のミューズだったオードリーヘップバーンにはランテルディ(L'Interdit)が、バルマン(Pierre Balmain)の理想の女性だったソフィアローレンにはイボアール(Ivoire)が捧げられた。
さて、1997年の”彼女”と”彼”はどんな人なのだろう。特定のイメージはなかったにしても「時代の鏡が映した彼女と彼」は?

1997年のニュースな彼女、彼
1997年という年はスポーツの世界では勝者の最年少記録の更新があったり(ゴルフのタイガー・ウッズ、テニスのマルチネ・ヒンギス)、映画では『タイタニック』や日本のアニメ『もののけ姫』が大ヒットした年だった。
悲しい出来事としてはダイアナ元妃の事故もあった。そしてマザー・テレサが儚くなったのもこの事故の数日後のことだった。

軽やかに支え合う彼女と彼
冒頭に”主張”より”調和”と書いたけれど、肩ひじ張って声高に自立を叫ぶ女性像から、もっとナチュラルで自然と共生する感覚を持つ女性像へ。
男性も、自立した女性に匹敵するつわものではなく、受容的で相手を尊重し応援する人。タイタニックやもののけ姫の作中人物は互いにそうではなかっただろうか?
”軽やかに、局面を生きる”
エコロジーも叫ばれた時代の彼女と彼は、軽やかに互いを支え合ったのかもしれない。

Light Him/Trussardi/1997
バジル、セージ、カルダモン、ジンジャーなどのハーバルな清涼感と柑橘系のフレッシュさ、ベースにサンタルやシダーウッドなどのウッディ系。
とにかく「気持ちのいい」香水。
この後にやってくる「草食男子」を予感させつつも、ライトヒムは、もっと他者目線でもっと支援的だ。

香り、思い、呼吸。
6月14日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。


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