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最初の水 4月5日~365日の香水

風と共に去りぬのように
「手塚治虫の漫画を浦沢直樹が再解釈してストーリーはそのままでネームを切りなおして描きなおしたよう」
この香水をくださった方にそう私の感動を伝えた。
世界一有名な香水シャネルの「NO.5(chanel NO,5)」の再解釈による新作を手掛けるというのは、本当に勇気がいることだったと思う。
映画でいうなら「風と共に去りぬ」、スカーレットオハラの強烈さと、演じたヴィヴィアン・リーの圧倒的な存在感には、どんなに頑張っても遠く及ばず、リメイクなどやるだけ損な気がするのだ。
この映画と同じくらいの圧倒的な存在感を持つ香水の一つが「シャネルNO.5」だから、新解釈バージョンの製作は勇気ある挑戦だったと私は思う。

シャネルの生命線
登場から100年を過ぎた現在も、NO.5は歴史上のものではなく現役だ。
クリスマスシーズンのパリでは、本店のあるカンボン通りでも、高級店の立ち並ぶモンテニュー通りでも、シャネルのハウスのプレゼンテーションはNO.5 が全面に出される。
シャネルの”キラーコンテンツ”がマドモアゼルと彼女のアイコンと言っていい香水NO.5 だということがよくわかる現象だ。
ハウスの生命線と言っていいこのNO.5の新解釈をてがけた当時のシャネル社の主任調香師ジャック・ポルジェ(jacques polge)で、結果は言うまでもなく成功する。

NO.5 Eau Premiere/Chanel/2015

リニューアルではなく新解釈ということが成功の要因であったと私は思う。
オリジナルの重要な構造を継承し、時代性をうまく注ぐ。
オリジナルの“完璧さが完璧に活かされる“。
「風と共に去りぬ」を脚本からリメイクするのではなく、今あるフィルムを別の視点で編集しなおす、少しだけデジタル技術でクリアな映像にする、そういうことに近いのかもしれない。
もちろん、その編集には、桁外れの才能と技術が不可欠。
そう考えると、これは多くの名香を手掛けたジャック・ポルジェの最大の功績であり、業界への貢献であったのではないか、と思う。
香りの素晴らしさだけではない、「香水」についての本質的で果敢な”意義”をこの香水はもたらした。
これ通して元祖のNo.5に対し、さらなる感動を覚えるし、元祖を知ればこそ、このeau premiereのすごさを実感する。

香り、思い、呼吸
4月5日が誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。


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