5番街 4月8日〜365日の香水
VS PARIS
「Paris vs NY」というヴィジュアルブックがある。両者を象徴的なアイコンで対比させながら紹介していく。例えば、ブティックはパリではマダムが「Bon jour」、NYでは黒服の紳士が「well come back」、朝食はバゲットに対してベーグル、スイーツはマカロンに対しカップケーキ、映画はゴダールに対しウッディ・アレン・・・シンプルなイラストでパリとニューヨークの様々なアイコンを楽しみ、両者の異なる魅力を発見するような楽しいビジュアルブックだ。
ちなみに生成AIに、シャンゼリゼと五番街のキーワードを6個ずつ挙げてもらったら、以下のようになった。
シャンゼリゼ:豪華、歴史、華やかさ、ファッション、観光、象徴
五番街:高級、ショッピング、ランドマーク、文化、エレガンス、ダイナミズム
エリザベス・アーデン
アメリカにおけるコスメブランドの先駆者で、同時期にヨーロッパで注目されていたヘレナ・ルビンシュタインとはライバル関係にあった。
エリザベス・アーデンの最初のサロンはNYの五番街に誕生し、レッドドアが裕福な顧客を出迎えた。
ブランドのイメージカラーはこの赤であり、歴史と伝統を誇るアドレスは五番街なのだ。
今もブランドはそれを守っている。
レッドドア(redo door)と五番街(5th Avenue)はともにブランドの伝統とエレガンスを体現する香りとして定番化されている。
5TH Avenue/Elizabeth Arden/ 1996
この香水はもっと古い70年代頃のものかと思っていた。けれど、香りをみると確かに90年代的な透明感のあるグリーンフローラル。
実に多様な面のある場所で5番街はメトロポリタン美術館、エンパイアステートメントビル、高級ブティック・・・AIがキーワードにダイナミズムを挙げたのもうなづけるほど多彩。
だから香りの表現もいろいろ可能だけれど、エリザベス・アーデンの「5番街」は例えるなら、美術館の展示物がそこから抜け出て、エントランスを背にすくっと立っているような想像をさせる香り。
元の展示物は近世のヨーロッパ絵画か、あるいは中世のアジアの彫刻か。
地上に舞い降りた妖精のように春の草原の香りを纏って、行き交う人を眺めている。
90年代はベルエポックのふくよかな女性美から半世紀。中世的で透明感のある女性美への自然な移行。
そんなことを感じさせてくれる香水だ。
香り、思い、呼吸。
4月8日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。