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イニシャルY 3月15日〜365日の香水

YSL
モードの帝王と言われたイヴサンローラン(yves saint laurent)のロゴはイニシャルからとってYSL。
今日のテーマはYSLの頭文字Yと名付けられた香水。

サンローランがディオールを解雇されて独立したのが1961年で、自身のイニシャルを香水名にした「Y」がリリースされたのが1964年なので、この香水は彼のクリエイション活動のかなり初期の段階のことといえる。調べた限りでは最初の香水のようだ。
少なくとも、ハウスを変えたと言われるオピウム、反骨の証リヴ・ゴーシュよりもずっと早い登場だ。

名前とイニシャル
個人的だけれど、フルネームは与えられた授かったものという感覚なのに対し、イニシャルは自分の持ち物という感覚がある。名前を記す時には授かったものへの緊張を伴うけれどイニシャルを記す時には持ち物への愛着が湧く。
想像だけれど、サンローラン自身も(おそらく)初となるハウスの香水にイニシャルしかもファーストネームの頭文字だけを使うことで、威厳やフォーマルさではなく、自身の世界観への愛着と自然体であることをそのネーミングに託したのではないだろうか。
yves saint laurentというデザイナーがYSLというブランド事業をしている、みんなにはYで認識してほしい、そんな気持ちだろうか。
l amで語るのはイブサンローラン、this isで語るのはYなのかもしれない。
頭文字一つを冠したやり方に、サンローランがさりげなく世の中に置いておきたかった彼の世界観を私は感じる。

Y/YSL/1964
グリーンシプレーの精巧な香り。
ナチュラルさと都会的なセンスと両方を感じる。
初代のミスディオールよりもクールダウンしてスマートだけれど、シャネルのno19よりもまろやか。
均斉のとれた名香の一つだ。
調香師はmichel hyという人で60年代から70年代に活躍期があったようだ。
データベースサイトなどでは十数点の作品が紹介されていたけれど驚くことに、その半数近くが私のコレクションにあった。
グリーンのアコードを中心にシプレーやアルデハイドと合わせることがおそらく得意だったようで、グリーンシプレー、グリーンアルデハイドの傑作が多い。
この香りはシックな雰囲気には彩を与え、グラマラスな雰囲気にはスマートさを与える。
残りわずかなYの液体。
装うシーンを熟考したい。

香り、思い、呼吸。

3月15日がお誕生日のかた、記念日のかた、おめでとうございます。

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