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クロエ 3月5日~365日の香水

クロエとダフネ
創業者が観たバレエ「クロエとダフネ」に感激して、自らのブランド名をクロエに決めたという。古代ギリシアの叙事詩で美少年ダフネと美少女クロエの恋愛讃歌らしい。作中人物は山羊飼い、羊飼い、牛飼いなどなので牧歌的な情景も浮かぶ。
クロエは他にギリシア神話のデメテルの別称でもあり、「輝き」「緑」などを意味する言葉を語源としているそうだ。
そのようなことから「開花」や「草原の守護者」の意味を持つ存在らしい。
どちらにしても、季節で言えば早春、人で言えば乙女、自然で言えば草原、そんなイメージが「クロエ」には集約されているらしい。

メゾン・クロエ
クロエの創設者はエジプト貴族で第二次世界大戦中にフランスに移住したギャビー・アギョン。勝手な想像だけれど、バレエの世界に陶酔し作中のヒロインをブランドの何するくらいだから、本人も抒情的な牧歌的な世界観を持っていたのではないだろうか。

ギャビー・アギョンはプレタポルテの先駆者とも言われていて、当時オートクチュールしかなかったモード界に高級な素材を使った、既製服の概念を打ちたてた人だそうだ。
カールラガーフェルドやステラマッカートニーなど名だたるデザイナーを歴代のクリエイティブディレクターに迎えている。
1952年の創業時からなかなか知名度が上がらずにいたけれど、ラガーフェルドを迎えた80年代から一気にライジングしていったようだ。
瑞々しい女性美を称えるような創作は神聖な世界観は歴代のディレクターたちがアギャンの思いを汲んでクリエイションをしてきた賜物なのだろう。

Chloe/1975
濃厚ではないけれど豊潤な香り。月下香(チュベローズ)、水仙の独特の甘さとグリーンノート、たくさんの花の咲き誇り、ハープが奏でられるように香りが広がる。クロエのもつ豊穣(の女神)のイメージに通じるふくよかさ。
チュベローズはジャスミン、ローズに引けを取らず香り高い花として昔から愛されてきた。ミドルノート以降、香りはチュベローズを中心に成立していく。ここでは、組み合わせによって神話の世界の乙女像を形成するのに貢献している。一つの香りは様々な顔を持つから、チュベローズも組み合わせ方で砂糖菓子のような甘さをだしたり、あるいは妖艶になったりする。
気温があがってくると、少しこのチュベローズが重くなりそうなので、やはりこれは早春に似合う香りなのかもしれない。
心的世界の豊潤な人であれば、クロエの香りはどんな人でも包んでくれるはず。

香り、思い、呼吸。

3月5日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。


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